ほしくて、いらない。




「あ、泣いてんのか?」



「はい?そんなわけないじゃないですか」



「泣いてるから顔上げられねんだろ」



「違います」



「ごめんな。悪かった。いいよ存分に泣け」



そう言って私の頭を乱暴に撫でた。



「違うって言ってるじゃないですか!」



先生のからかった態度にイラついて、思わず顔を上げてしまった。



「……ははっ」



私の空笑いが思った以上に響いた。



前髪から水が滴る先生は、かなり色っぽくて心臓が一瞬高鳴ってしまった。



「何その顔」



はい?



「…………は?」




「お前やっぱバカだな。俺言わなかったっけ?潰れる前に周りを頼れって」



「…まだ潰れませんから」



そう言って微笑んで見せた。



「さぁ帰りましょう」



私が立ち上がって歩き出したと同時に、腕を強く引っ張られ、大きく体が揺れた。