知らなかった。
言ってくれたら良かったのに…
なんで言わなかったのよ…
「康太だって……。
ねぇ、康太がバド始めた理由知ってる?」
私は黙って首を横に振った。
「あんたなんだよ。あんたに憧れて康太はバドを始めたの」
そっか、そうだったんだ。
やけにバドの練習ついてくるなーなんて思ったこともあったけど、しまいには同じクラブ入ったし。
そうだったんだね…
…
「康太はそのうちにあんたを好きになって…あんたにばっかりついて行くようになった。同じ体育館にいるのに、休憩時間に康太が真っ先に走っていくのはいつもあんたのとこ」
きっと彩は、康太が好きだったんだ…
あんなに長く一緒にいたのに、気づかなかった。
私ってどこまでも最低だね。
彩をこんなにも傷つけていたこと、全然気づかなかったよ。
「どんな思いで私があんたのそばにいたか…どんな思いで、あんたたちのこと見てきたか…どんな思いで、あんたのペアやってたか…」
「ん、ごめん」
彩の瞳からは大粒の涙が溢れている。
こんなにも辛かったんだ。
たくさん苦しんできたんだ。
彩だけじゃない、私もだけど。
彩だってたくさん苦しんできたんだ。
私は、人を苦しませてばかりだ…
