放課後の廊下は静かだけれど、昇降口に向かうにつれて、グラウンドのほうから運動部の声が聞こえてくる。
「もうすぐ、運動部は引退前最後の試合だねえ」
「そうだね、どこも気合い入ってるよね」
「今度のバスケ部の試合、みんなで見に行こうって話してたんだけど、七瀬も行かない?」
バスケ部、と聞いて、一瞬、ドキリとした。
最後の試合ーー頑張ってるかな。頑張ってるだろうな。
だって君は、すごく負けず嫌いだから。
ついそんなことを考えてしまう心の中を見透かされないように。
「わ、私は、いいかな……」
慌てて隠して、不自然な笑いで繕う。
「そっかあ。ま、言うと思ってダメ元で聞いたんだけど。七瀬ってそういうの興味ないもんねえ」
「うん、ごめんね……」