新しいケータイ。


最初に登録したのは、好きな人のプロフィール。


それを知ったところで、私はどうすることもできないけれど。


でも、この画面を私はバカみたいに、きっと何度も見返してしまうんだろうなって思った。


手に取って眺めて、想って、また元に戻して。大切な思い出みたいにそっと、このちっぽけな機械の中に取っておく。



琴里がトイレのほうからパタパタと戻ってきた。


「もー、ママってばどうでもいいことでいちいち電話かけてくるんだもん。しかも話長いし」


蓮の隣にとすんと座って、ため息と一緒に愚痴を零す。