光莉の家は母子家庭で、光莉は家計を助けるためにと放課後はいつもバイトしている。
おまけに勉強も怠らないし、忙しい時間の中で家事もこなしている。

暇さえあれば家ではダラダラしちゃっている私とは、大違いだ。


それなのに忙しさを表に出すことなく、いつも笑っている。

私の下らない話にも、嫌な顔ひとつ見せず付き合ってくれる。

私は光莉のことが大好きだ。


だからこそ余計に嫉妬してしまうのかもしれない。

私が男の子だったら、間違いなく好きになるもの。

それだけ光莉は魅力的な子――。


私には勝っているものなんて、ひとつもないから。

「卑屈になりすぎ」

考えれば考えるほど自分が嫌な人間になっていく。


どうしてこうなっちゃったのかな?

私はただ柳瀬が好きなだけで、柳瀬のためを思って取った行動だった。


それが柳瀬を勘違いさせてしまい、それをきっかけに光莉を好きになって……。

ただの偶然と言ってしまえばそれまでかもしれない。

運命って言葉を用いられてしまったら、私はどうしたらいいのかな?