「光莉が傷ついたように、皆森さんだって傷ついた。……それに一番悪いのは俺だから。俺が皆森さんの気持ちを急かすようなことを言ったから」

「それは違うよっ!?」


唇を噛みしめる笹沼くんに、慌てて声を上げた。

「笹沼くんは悪くないよ! 悪いのは私。……柳瀬の気持ちをきいたとき、ちゃんと話せばよかったの」


「それを言ったら俺も同じだろ? あの場面を見ていたのに、幸に本当のことを話さなかった」


違うと言うように首を横に振った。


「一番悪いのは私。柳瀬に嘘ついて、光莉にまで口裏合わせてもらって。……今さら後悔したってどうすることもできないけど、時間を巻き戻せるなら巻き戻したいよ」


柳瀬の気持ちを聞いた日に戻りたい。

今ならすぐに言えるのに。

体育祭の日、タオルを掛けたのは私だって。


ふと空を見上げれば、いつの間にか夕陽は沈みかけていて、薄暗くなっていた。

奢ってもらったミルクティーもすっかり冷めてしまっている。


「ごめんね、遅くまで。……笹沼くんに話を聞いてもらえてよかった」

思いっきり泣いてスッキリできたよ。