「これ、よかったら」

誰もいない夕方の公園。

ベンチに座っていた私に笹沼くんが渡してくれたのは、ホットミルクティーだった。


「ごめんね、ありがとう」

受け取るとなにも笹沼くんも隣に腰を下ろした。

「少しは落ち着いた?」

「……うん」


躊躇いがちに聞かれた声に、申し訳なく思ってしまう。


光莉の家からの帰り道、偶然会った笹沼くんの顔を見た途端、一気に涙が溢れてしまった。


そんな私に笹沼くんはなにも言わず寄り添ってくれていて、人目の少ないこの公園に連れてきてくれたのだ。


「ならよかった」

安心したように微笑み言うと、笹沼くんは缶コーヒーのプルトップを開けた。

そして一口喉に流し込むと、再び私を見据えた。


「じゃあ聞いてもいい? 泣いた理由」

泣いた理由――。