笹沼くんが来てくれなかったら、ここまでスッキリできていないと思う。


カレがそばにいてくれたから。
泣いている間、ずっと抱きしめてくれていたから……。


身体を洗いながら思い出すのは、鮮明に焼きついている笹沼くんのぬくもりや香り、胸の鼓動――。


背が高くて私の身体なんてスッポリ収まっちゃうくらい胸元広くて。

あぁ、笹沼くんは男の子なんだなって実感させられた。


「…………いやいや、だからなによ!」

慌てて首を横に振り、泡をシャワーで流していく。


笹沼くんは私のことを心配して来てくれただけ。

同じように片思いしている仲間だから、優しくしてくれただけだって!!


そうだよ、笹沼くんが好きなのは光莉なんだ。


私と同じように、好きな人が他の人と付き合い始めたって報告を、本人から聞かなくちゃいけない。


「笹沼くんだって、泣きたいほど辛いよね」


それなのに自分のことは二の次で、私に泣いていいよって言ってくれた。

泣き止むまでずっとそばにいてくれた。