全力片思い

本当は私も出発前にトイレ行きたかったけど、これは言えない雰囲気だ。

「じゃあここで待っているね」


手を振って見送ると柳瀬は嬉しそうに、光莉は少し戸惑い気味に公園内にあるトイレへと向かって行った。

次第に見えなくなるふたりの後ろ姿。


「最悪、俺もトイレ行きたかったんだけど」

「え、笹沼くんも?」

「……“も”ってことは皆森さんも?」


お互い顔を見合わせ、唖然としてしまったけれど、すぐに口元を緩ませた。

「なんかアレだな、俺たち振り回されすぎ」

「そうかもしれないね」


四人でいたときは気まずい雰囲気だったからかな? 笹沼くんとふたりっきりになると和まされる。

最初は苦手な人だったのに不思議だ。


ベンチに腰を下ろした笹沼くん。

待っている間、私だけ立っているのもなと思い、少しだけ距離を取って同じベンチに座った。