全力片思い

「それよりそっちこそ珍しいね、ふたりが一緒とか」

今度は柳瀬の表情に曇りが見えた。


そうだよね、気になるよね。

光莉と笹沼くんこそ、初めてじゃないかな? ふたりで同じ時間の電車に乗って来るなんて。


柳瀬に笹沼くんが答えた。

「別にたまたまだから。いつもより登校時間が早いから、途中で会って一緒に来ただけだよな」

「あっ、うんそうなの」

すぐに光莉も答えるものの、いつもの光莉じゃない。

笑顔がぎこちなかった。


どうしよう、光莉に嫌な思いをさせてしまったかも。

だって私、光莉に柳瀬のことが気になるって聞かされていたのに、その柳瀬と一緒に来るとか……光莉にしたら嫌だよね。


しかも柳瀬もバカだから「親睦を深めようと思って」なんて余計な一言を言うから!


すぐに光莉の誤解を解きたい衝動にかられるけれど、すぐに思い止まる。

今は柳瀬も笹沼くんもいる。

こんなところで言ってしまったら、光莉に一瞬で嫌われてしまいそうだ。

グッと堪えるものの、誰もそれ以上言葉を発することなく微妙な空気が流れる。