拾われた猫。





「土方さんのことは『トシ』って呼べばいいよ」



自然な流れで、さも当たり前のようにそう言った彼に左之がぎょっとした表情をした。


そして、呆れるように眉を寄せて目を伏せた。




「土方さんは寂しがり屋だから、そうやって呼んでもらったら本当は嬉しいんだよ」



最もらしい言い分に私も納得してしまった。


左之が何かを言いたげだったけど、それを聞く前に総司が料理を始めてしまった。



終わったらまた聞こうと思っていたけど、その時にはもう忘れてしまっていた。



出来た食品を運んでいると、大広間にぞろぞろと幹部連中が集まってくる。



総司に言われるがままに運んでいた。



「はい、これで最後。

土方さんの分だけど、名前呼んで挨拶してごらん」


爽やかな笑顔を見せる彼が何を考えているのか分からなかった。


それにその時の私は、名前如きでこんな騒ぎになると思わなかったのだ。