その時、総司が怪しく笑ったことに気が付かなかった。
「どう呼べばいいか、分からなくて」
これまで人付き合いをしてこなかった私には人との距離感が分からない。
平助と総司はそう呼んでいいと言っていたので呼びやすくなったが、ほかの人は分からない。
「呼びやすいように呼べばいいんだよ。
平助のことも僕のことも名前で呼んでるでしょ?
だったら皆のことも同じように呼べばいいんだよ」
眠そうだった顔とは打って変わって、爽やかすぎるほど笑顔な総司が私の頭を撫でる。
「そうだな…。
左之さんのことは、『左之』って呼んだら呼びやすそうだよね」
総司がそう言うこと自体が怪しすぎるけど、一理ある。
総司は追い打ちをかけるように、「ね?」と左之に話しかけた。
「ん?
あぁ、親近感があっていいが」
何かに気づいたのか、苦い顔をしている。

