「こういう馬鹿騒ぎってよくあるの?」
「そんなわけねぇだろうが」
ククッと笑う土方歳三には、いつものような眉間の皺は無かった。
それにほだされたのか、私は自然と自分の話を始めた。
「……ここには意地悪な人もいるけど、皆優しい」
月を見ながらポツリと話を始める。
土方歳三は私の話を何も言わずに聞いていた。
「……私はこの髪が嫌いだった。
血の色みたいなこの髪が嫌いだった。
褒められたことなんかない。
貶されたことはあったけど」
自分のことを淡々に話す。
夜風が緩く私の髪を揺らしている。
「私の世界での私は〝Noah〟って言う殺し屋だった。
……あんたらみたいにそこに正義がある訳じゃない。
頼まれるから殺す。
……自分が生きていくために殺したなんか言うつもりは無いし、そんなふうに思ったこともない」
殺さなくても生きてこれた。
その手段は確かにあったんだ。

