着いた先は道場だった。
藤堂平助が隊士たちに稽古をつけているところだった。
「平助」
そんなことは気にもせず、沖田総司は彼の名前を呼んだ。
集中していたのか、やっと私たちに気づいて目を丸くした。
「あれ?
雨が部屋以外のところに来るの珍しいね。
どうしたんだ?」
沖田総司よりも私のことが気になるようだった。
私は藤堂平助が〝雨〟と呼んだことが気になった。
「名前…」
「あぁ、俺の事も平助でいいから」
人懐っこい笑顔を見せる彼に何も言わずに頷いた。
親しくしてもらえることに、胸が温まった気がした。

