「よく耐えたな」
大きな槍は私の前に来て、頭を撫でた。
「そんな所に突っ立ってたら危ないよ?」
クスクスといつものような意地悪な笑みは、私を撫でる手を払い除けた。
「なんとか間に合ったな」
相変わらずな眉間の皺を今日は少し緩める。
「…無事か?」
必要以上に言葉を発しない寡黙さは変わらない。
「あー!!
着物着替えてるってことはもう部屋見ちゃったのかー!?」
表情がくるくる変わる明るい声が何故か項垂れていた。
「くそっ!
平助なんざに先越されちまった!
俺がカッコ良く斬る予定だったのにっ!」
張り合う子供みたいな大人は別の意味で項垂れていた。
「香月くんが無事だったのだから良かったじゃありませんか」
クスリと笑う美人の長髪が風にそよぐ。
「そうだよ。
香月くん、よく頑張ったねぇ」
穏やかな笑顔に優しい言葉が返ってきて、皆よりもずっと長く生きてきてるだけあって余裕が見える。

