『やっと僕を使うんだね、雨ちゃん』
目で見えているはずの光景とは別に、頭の中に流れてくる桜牙の姿。
笑う少年は私に抱きつく。
『君は僕と居れば大丈夫だよ。
君を傷つけるものは僕が取り除いてあげる』
不敵に笑う少年はどこかわざとらしい。
私に抱きついている少年の肩を押して引き剥がす。
「私は守られたいんじゃない。
守りたいの」
少年は少し驚いて、嬉しそうに笑った。
「…妖刀でもなんでも構わない。
黙って私に扱われて」
頭の中で言ったのか、現実で言ったのか分からないけど、いつの間にか目の前の敵を斬っていた。
───今斬ったのは僕の意思だよ。
ここから先が君の意思になる。
この声が頭の中に響いたのを最後に桜牙の声は聞こえなくなった。
桜牙が前に思った時よりもずっと手に馴染む気がする。

