「あれ?

一は引っ掻かれなかったんだ?」



首を傾げると、佐之が苦笑いを浮かべた。




「…俺は何故か動物に好かれるんだ」



佐之はちらりと一を見て、やれやれと言いたげに両手を上げる。



…猫又って動物だっけ?




「…様子を見に来たんだが、邪魔だったか?」



眉を下げて笑う佐之に首を振ると、安心したように笑った。



「…あそこが敵の根城というわけか」



睨みつけるように見る一。



「多分。

でもよく分からないから、とりあえず中に入ってみたいんだけど、結構見張りの目が厳しい」



私の言葉に2人は真剣に敵の根城を観察する。



しばらくすると、思案するように3人で顔を合わせる。



「確かに…証拠がない限り俺たちは踏み込めない」

「じゃあ、相手が動くのを待ってればいいんじゃねぇのか?」

「それでも、関係ないって言われたら終わりだよ」