拾われた猫。





コクンと頷くと、またクスリと笑った。




「……別に何を見てるわけじゃない。

けど、ここは平和だから。

何を見ても飽きないからずっと1本だけ咲いた花を見てた」



名前は知らない。


けど、こんな所に一つだけ咲いている。



儚くて強いこの花が唯一私の暇を取り除いてくれる。



花壇の花なら何度も見た。


学校にも咲いている。


でも、何も無い地面に咲いている花は見たことがなかった。



いや、見逃していたのかもしれない。




「こうやって花を愛でるだけでも、暇は潰せる」



頬杖をついて、花を見ることがいつのまにか習慣になっていた。



この部屋でなければ私は花を見つけることが無かっただろう。