拾われた猫。




けれど、男はこれでは引き下がらなかった。



「この俺が買ってやると言ってるんだ!

大人しく来いっ!!」



私の手を乱暴に引っ張る。


男の力には適わず、少しずつ引っ張られていく。



「…くっ……!」



振り払おうとするけど、酔っていても男は男。



その時だった。




「いででででっ!」



私の手から男が離れ、捻り上げられた。


その拍子に後ろに倒れそうになるのを誰かが受け止めてくれる。



そして私を庇うように前に出た見慣れた背中。



「大丈夫かー?」



私を受け止めたその声は平助だった。



「へい……っ」



呼んでしまいそうになるその名前を何とか堪える。