「総司はあいつのこと好きだろうな」
左之さんのいきなりの言葉に動揺してしまった。
左之さんは見逃すわけもなく、悲しげに笑った。
「お前も好きなんだな」
その言葉は俺の中にストンと落ちてきて、落ち着いてしまった。
あ……、そうか。
俺は、いつの間に雨の事を好きになったんだろう。
左之さんは背を向けて、「頑張れよ」と手を振った。
どこか寂しげに感じたその背中が気にならないほど、俺は雨の事しか考えられなくなっていた。
部屋を飛び出した。
あの殺風景の部屋を少しでも華やかにしてやろう。
あいつが帰ってきたら驚くかな?
……今度は俺に笑いかけてくれるかな?

