「何やってんだ、平助」
左之さんもこの部屋の前を通りかかったのか、声をかけられた。
「雨がいつもここに座って何かを見てたから」
「あぁ、〝花〟だろ?」
穏やかに微笑む左之さんに俺は目を見開いた。
左之さんは…知ってたんだな。
「俺も初めは何を見ているのか分からなかった。
飽きもせずに一点を見つめて、『何見てんだ?』って聞いたんだ」
懐かしそうに話す左之さんに俺も思い出したことがあった。
雨が目を覚まして、ちゃんとあいつを見た時、守ってあげなきゃいけないって思った。
無表情なあいつは何処か壊れてしまいそうで、構わずにはいられなかった。

