「うーん…名前かー」
平助は頭をガシガシと掻く。
すると何かに気づいたのか、目を見開いて一点をじっと見つめた。
「こいつの目、雨の髪色にそっくりだ」
ニカッと笑う彼をつられて、私も猫又の目を覗き込む。
「……綺麗」
自然と出た言葉に自分でも驚いた。
あんなに嫌いだった私の髪色はこの子の瞳と同じ色。
自分でも血の色だと馬鹿にしていた色は、この子の瞳の色。
私はこの子の瞳を見て、血の色だとは思わなかった。
想像したのは、〝暁の光〟。
左之は私の髪を見て、暁みたいだと言った。
あぁ……、左之はこういう風に感じたのか。
綺麗に整った黒い毛並みに紅一点と言うように輝く緋い瞳。

