「どうした?

どっか痛いのか?」



オロオロとする彼は犬みたいで可愛いと思った。



「……違う。

転ぶところを支えられたのも、心配されたのも初めてだった…から」




大広間に既に座っている人たちも驚いた表情をしていたけど、何を驚いているのか分からずに首を傾げた。




「大袈裟だよ。

親とかに支えられて大きくなるものでしょ」



クスクスと笑いながらそう言うけど、私には親らしい人の記憶が無い。


強いていうなら……。




「育ててくれる人は居たけど、親は居ない。

……殴られて、蹴られて、刀を持たされただけ」



顎に手を当てて、普通にそう言うとシーンという効果音ががしそうなくらい静かになった。



その光景にまた首をかしげた。