拾われた猫。





「今起きたんだ?」

「あ…うん」


自分の服をちらりと見て答えた。



神妙な面持ちだった彼に首を傾げる。



「あのさ………」


言いかけたまま、総司は何かを考えていたのか、無表情で私の目を見ていた。




「ご飯、平助たちに食べられちゃうよ」



クスリと笑って行ってしまった彼に、私は納得出来ずにいた。


彼は分かりにくい。


いつも笑っているから。




私は総司の言われた通り、布団を片付け、服を着替えて大広間に急いだ。



私が最後だったようで、もう食べ始めていた。


勇に「寝坊かい?」と笑われながら席に座った。



相変わらず新八と平助は、お互いのご飯の取り合いで忙しいらしい。



左之はそれを見て笑い、トシは呆れて溜め息、一と丞は我関せずと黙々と食べている。



いつもの風景だったのに、何かが違って見えた。