拾われた猫。




「騒ぐな。

水を」



藤堂平助は彼に水を渡す。


ゆっくりと口に含ませる。


少しだけ口から零れた水は首を伝い、胸元に流れていく。



「新八、手拭い持って来てくれ」



永倉新八は原田左之助に頼まれると、走って取りに行き、勢いよく部屋に戻ってくる。



受け取った手拭いを胸元に置き、水が下に流れるのを防ぐ。



水を何度か飲ませたが、虚ろな目はそれだけでは足りなかった。



「これで良かったですか?」



甘味を買って戻ってきた沖田総司から、それを受け取る。


香月雨の口に当てるが、食べようとしない。