拾われた猫。





「…水です」


斎藤一は土方歳三の横に水の入った湯呑みを置く。


それを彼女の口に持っていき、少しだけ含ませた。


反射的に喉がコクリと動く。



それだけで、周りはホッとしたように雰囲気を緩めた。



「もっと持ってこい」

「…はい」



斎藤一は素早く部屋を出た。


湯呑みに入った水を全て飲ませ終わった時、斎藤一が戻ってくる。


近藤勇と藤堂平助、そして永倉新八も一緒だった。



水を持ってくるのを手伝っているらしかった。



「雨っ!」



藤堂平助は心配そうに駆け寄る。


顔色はほんの少しだけ回復したようだった。