土方歳三がギロリと睨むと、一斉に散っていく。
そんな中でもクスクスと笑いながら近づいてきた人がいた。
「鬼がもっと鬼になってますよ、土方さん」
にこやかな彼にも隠しきれていない苛立ちを感じる。
土方歳三はそんな彼を鼻で笑った。
「お前も同じだろうが」
「僕だけじゃなくて、多分…皆ですよ」
縁側に座って両腕を服の中に入れる彼は、目を伏せてそう言った。
その時、斎藤一と原田左之助が巡回を終え、報告に来た。
「さっき凄ぇ音がしたが、土方さんか?」
「そうだよ、全く物に当たるなんて大人気ないよね」
土方歳三は沖田総司の言い草に更に苛立ちながら、「うるせぇ」と返す。

