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「新八」




手のつけられていない膳を下げる彼は土方歳三の部屋の前で足を止めた。


部屋の中で、土方歳三は膳を見つめていた。




「…あいつが食わなくなってどれぐらい経つ?」

「1週間くらいか…、それくらいだ」




そのことを気にしているのは今や2人だけでは無かった。



永倉新八が膳を下げに行った後、彼はまた仕事に戻る。


けれど、その手はまるで動かなかった。



机の上の紙をグシャリと力任せに握り潰す。



「くそっ…!」



握った拳を机に叩きつける。


その大きな音を聞いて、人が集まってくる。