「あんなもの持ってて、『はい、どうぞ』って渡せるわけないでしょ」
いつの間にか開いた障子にもたれ掛かっていた男が言葉を放った。
「総司!」
総司と呼ばれた彼は、先程まで話していた男の隣に座った。
「近藤さん、不審人物の部屋に一人で行かないでくださいよ。
何かあったら土方さんに怒られますよ」
「うむ…そうなんだが、放っておくのも…」
総司と呼ばれる男が、私に放った小さな殺気は消えていた。
瞳も冷たいものから優しくなっている。
「でさ、君は誰?」
ニコッと笑った顔には似合わず、恐ろしいほど冷たい目に再度変化。
近藤と呼ばれる男の前だからだろうか、殺気は皆無。
でも、相手を威嚇するには十分すぎるほどだった。

