「もう一度言う。 部屋に戻れ」 トシは威圧を放ちながら、私に言葉を紡いだ。 両手を下に下げて、私はその場にストッと座る。 そして皆の前で床に両手をつけて、頭を下げる。 「お父……芹沢さんのこと、私に任せて下さい。 あんたらの都合の悪いようには絶対しない」 皆の表情は分からない。 でも、空気が変わったということは分かる。 「お前……」 トシの言葉が続く前に、誰かが私の脇に手を入れて立たせた。 「左之、何?」 左之は悲しげな、でも怒っているような顔だった。