拾われた猫。





その後、お父さんが来た。


普段乱暴なお父さんとはかけ離れたくらい優しい手つきで、私の腕をそっと手に載せて包帯の上を撫でた。



心配してくれていたようだった。



「お父さん、大丈夫だよ」

「……あぁ」



私がそう言っても暫くは離そうとしなかった。




2人が帰った後、部屋が随分と寂しく感じられた。


そう言えば私の部屋に誰かが来たのはあの酒盛りの時以来だった。



あの人がいなくなった時の感覚のよく似ている。



あの時も私は寂しかったのかもしれない。



今になって気付くなんて。