拾われた猫。





「あんたは笑わんけど、泣きもせんねぇ」



梅姉さんは目を伏せて、小さくそう言った。



「雨、うちはあんたの笑顔が見てみたいなぁ」



そのままクスリと笑って、私を見ると頭を自分の方に引き寄せた。


この人はよく私を抱きしめる。



私も抵抗はしない。


本当にお姉さんみたいで、すごく……心地いい。




「そないに悲しゅうせんでもええんよ。

皆あんたが好きなんよ」



彼女はそう言った。


でも私には理解出来なかった。



「私もあんたが好きなんよ、雨」



耳元で囁いた声は、全身に回っていくようだった。



全部は理解出来なかったけど、ちょっとだけ鼻の所がジーンとした気がした。