トシは私の話を聞こうとはしなかった。
私もさして抵抗はしなかった。
部屋に戻って、また監視されていた日々のように花を見ていた。
今日も私の事情なんか知ることなく、光を浴びて咲いている。
着物は昨日のうちに縫ってしまった。
縫い物は小さい頃以来だったので、不安だったけど案外綺麗に出来た。
昨日は私の行動にあんなに怒ったくせに、今度は監視すらいない。
「……どっちだよ」
ポツリと呟いて木枠に頭を置いた。
風が気持ちよくて、眠気が来ている時に障子が開いた。
「おはよう、雨!」
今や聞き慣れた明るい声が私の頭をフル回転させた。

