彼の顔をじっと見ていると、私の視線に気づいて視線を合わせた。
「俺の顔に何かついているか?」
「ううん」
首を振ったけど、また丞の顔に視線を戻す。
丞は更に首を傾げる。
「優しいなって思って。
ここは優しい人が多い。
……人が斬れるのかってくらい」
私の言葉に嬉しそうに笑った。
丞は道具を片付ける。
「俺たちに言わせれば、君のような子が刀を持っていることが驚いた。
でも君はそんな俺たちを牽制して、あの沖田くんに勝ってみせた」
パタリと木箱を閉じて、こちらに向き直る。
「君にとって〝ここ〟はどういう場所になっただろうか」
この人は多分答えを求めてはいない。
本気で私のことを考えてくれている。
それはこの人の性格なのかもしれない。

