「何の、つもりだ」
腰を抜かしていた男の前に立ちはだかった私は、左腕でお父さんの刀を防いでいた。
こんな町中で私まで武器を手にするのは、騒ぎになる元だろう。
お父さんは私が入ってくると予想もしなかったらしく、腕には比較的浅く傷が出来ていた。
お父さんも一瞬のことだったので、刀を止めることまでは出来なかったらしい。
「雨!」
梅姉さんは私に駆け寄った。
お父さんは眉間に皺を寄せたまま、踵を返して行ってしまった。
「大丈夫。
だからお父さんについてあげて」
梅姉さんは迷ったみたいだったけど、泣きそうな顔で彼を追いかけた。
私は腰を抜かす男に振り返ると、手を差し出す。

