「お前!
ぶつかった物が何なのか分かっているのか?!
刀は武士の魂。
それを穢したのか?!」
「ヒィィィ!
お、お許しください!」
お父さんの威圧に負けてすぐさま詫びる男は、恐怖で動くことすらままならないようだった。
私はちらりと梅姉さんを見たけど、梅姉さんはいつもの笑顔はなく無表情だった。
梅姉さんの様子を見て思った。
あぁ、これはいつもの事なんだ。
一がお父さんの事を「横暴」だと言った。
私がNoahだった頃、殺していたのは〝こういう〟人種だった。
もしかしたら……今まで殺してきた人たちにもお父さんのような一面があったのかもしれない。
愛した人がいたのかもしれない。

