拾われた猫。



ボーッとお父さんの顔を見ていたら、ちらっとこちらに視線を向けた。


その時だった。




お父さんの刀の柄に隣を通り過ぎる男の荷物がぶつかった。


私に向いた視線はすぐに逸らされ、ぶつかったその人の肩を掴んだ。




振り向くと同時に殴りかかる。



「ぐぁっ!!」



男は地面に叩きつけられた。


殴られた頬を抑えて腰を抜かしていた。



「ヒィィ!」


恐怖に声を上げながら、今にも殺されそうな顔をしていた。



殴られたとはいえ、その時はまだここまで怖がる意味が分からなかった。