拾われた猫。




ほんの素朴な疑問だった。



何も考えずに聞いた私をちらりと見た。


でもまた書類の方を向いた。




「俺たちはお前を迎え入れると決めたんだ」



それが答えだと言うように、何も答えなかった。


やっぱりトシはあの人に似ているけど、似てない。


分かりにくいけど、欲しい答えをくれる。




「お前、暇なら洗濯でもしてこい。

言っとくが、洗濯物は山程ある。

嫌なら止めとけ」



トシの言葉を聞いた瞬間に、私は部屋を出て洗濯の用意をした。


大きな桶に入った着物を持ってきて、じゃぶじゃぶと洗っていく。