「儂の名は冬流<トウリュウ>じゃ。
刀の名は〝桜牙<オウガ>〟。
…また来い。
手入れや修理は儂がしてやろう」
「……うん。
よろしくお願いします」
丁寧にお願いした。
私たちは玄関まで戻る。
そのまま帰るつもりだったけど、ふと思いついたことがあった。
「冬流さん」
振り向いた彼のところに寄り、もう一度折れた刀を渡す。
「もう使い物にならないって分かってるけど、修理してほしい」
私の無理なお願いをじっと聞いて、刀を見つめる。
「繋ぎ目が目立っても構わない。
形が変わっても文句は言わないから」
冬流さんは折れた刀身をじっと観察して、鞘に収めた。
フンッと鼻で笑うと、何も言わずに折れた刀を持って家に入っていった。
私たちは安心して、屯所に戻ることにした。

