その時、折れた刀から何かが伝わったような気がした。



キーンと神経に甲高い何かが流れて、私の視線を鎖に繋がれた刀に注がせた。




「あれは?」


無意識に老人に問いかけていた。



鎖に繋がれた刀は美しい刀身をしていた。


きっと高いものだろうと思ったと同時に、ここの刀たちの3分の1の殺気はこいつから出ていると確信した。



「美しいじゃろう。

初めて見た時、儂も驚いたわ。

じゃが、悪いことは言わん。

あれは止めておけ」



目を細くして刀を見つめる老人は、何かを危惧しているようだった。



「あれは〝預かり物〟なんじゃ。

…今もあの刀は自分の主人を探しておる」


それ以上は話そうとはしなかった。


あの刀の主人はどんな人なのかは分からない。



あの刀が何を望んでいるのかも分からない。