教わるより教える方が
明らかに疲れる。

だから、昼飯は俺が作ることにした。

さっきの亮の質問を
そっくりそのまま返した。

「何がいい?」

「炒飯かな」

以心伝心か?(苦笑)

作ろうと思ってた物を言われた。

「わかった」

材料は揃っているだろう。

立ち上がりキッチンへ向かった。

換気扇の下で煙草を吸ってる
雪村の横で調理を始めた。

「何か作るのか?」

時計を指して一言。

「昼飯」

俺も亮に
言われるまで忘れてたけどな(苦笑)

「何作るんだ?」

秘密だ(笑)

「できてからのお楽しみだ」

雪村は何だそれって
顔をしてキッチンを出て行った。

「できたぞ」

テーブルの上の教科書やらノートを
退かして皿を置いた。

「炒飯だったんだな」

「静、知らなかったんだ」

俺が教えなかったからな(ニヤリ)

「春日井が教えてくれなかったんだよ」

亮にチクりやがった(笑)

「ぁはは、貴也イジワルだね」

「できればわかるんだから
別にいいだろう」

わざわざ言わなくても
できりゃわかるんだしいいと思う。

「確かにそうだね」

昼飯を食べた後、宿題を再開し
夕方までできるところまでやって
亮が夕飯を作った。

これもそれも全部
亮と雪村のおかげだと感謝した。

「二人ともお疲れ」

宿題が全部終わった❢❢

「やっと終わった❢❢
二人ともありがとうな」

こんなに勉強したのは初めてで疲れた……

「これくらどうってことないさ」

教師だからか?

まぁいいか(苦笑)

「そうそう、この前の話覚えてる?」

四人で出かけるってやつか?

「覚えてるよ」

亮が告げた行き先は……

「行き先は温泉♨」

それは慎が無理だろう❢❢

「ちょっと待て、慎が行けないだろう❢❢」

お泊まりの間だったとしても
あの親父さんが行かせないだろう……

「笹山君は行きたくない?」

本人に訊きやがった。

「僕は行きたいです❢❢」

雪村がいるし、このメンバーで温泉なんて
この機会を逃したら
いつ行けるかわからないしな……

「よかった」

亮が安堵した声を出した。

「じゃぁ、携帯貸してくれる?」

慎が少し不安そうに確認した。

「家に電話するんですよね?」

旅行には行きたいけど
親父さんが許してくれるか不安なんだな……

「そうだよ」

慎は自宅の番号を出して
亮に携帯を渡した。

「お願いします」

廊下に出て電話をしていた亮が
何をどう説明したかは不明だが
慎の親父さんを説得した。

二日後、俺達四人は県外の温泉に来た。

俺は母さんにだけにメールした。

そしたら、吃驚する返信が来た❢❢

〔「お父さんには黙っててあげるから
彼氏と楽しんで来なさいね」〕
と返ってきた……

何でバレてんだ!?

夕飯の時にでも話すか(苦笑)

先に温泉に入って夕飯は後から
食べることになった。

in温泉

「俺、久しぶりに来た」

最後に来たのは
何時か忘れるくらい前だ。

「僕も久しぶりだよ」

慎もか(笑)

「亮・雪村、
連れて来てくれてありがとうな」

両親は休みになる度に
俺を置いて旅行に行くから
連れて来てもらえたことが嬉しい♡*.+゜

「どういたしまして」

後ろから抱き締められ
逆上(のぼ)せそうになった//////

「別に、礼を
言われる程のことじゃないけどな」

雪村はそう言うが嬉しかったから
勝手に礼を言わせてもらう。

あんまり長湯すると
本当に逆上せそうだから
そろそろあがることにした。

「あのさ、話があるんだ」

部屋に着き俺は口を開いた。

「ん?」

実は……と話し出した俺。

★母さんに恋人が出来たと話したこと。

★同性とは言ってないのに
同性と気付いてること。

★父さんには言えてないこと。

「今度、貴也ん家に挨拶にいくよ」

その言葉に慌てたのは
当然、俺と慎だ。

「おい、亮❢❢」

俺が何か言う前に
口を開いたのは雪村だった。

「的木先生は勇者ですね」

慎にまでツッコまれてるし(苦笑)

「貴也ん家の親父さん、怖いの?」

怖いっつうか、訳ありなんだよな……

「会えばわかるさ……」

半ば諦めモードで俺が言った。

話しが終わった頃、
丁度いいタイミングで仲居さんが
夕飯を運んで来た。

ネットで評判の良かった
この旅館はご飯も美味しかった。

三泊四日の楽しかった旅行も
今日が最終日である。

そして、亮ん家に帰って来た。