雲迷の風船

「サ、サスターナ君…!?」

『サスターナ遅せぇーよ! シバくぞ』

なんでサスターナ君そんなに泣いてるの!?
サスターナ君は白いスーツの袖で涙を拭う。
サスターナ君の登場によりその場はまるで時が止まったようだった。しかし、私とカネコ以上に驚いていたのは獣達だった。ぽかんと口を開け、光が身体を包む。次第に身体が人へと変わっていく。

「サスターナ様―ッ!?」

獣族民は悲痛な叫びでサスターナ君に駆け寄る。戦いの疲れか、冷や汗か。ポタポタを汗を垂らしている。
しかし―サスターナ君の涙は止まり、侮蔑の目で彼等を見ている。それこそ思考力のない獣を見ているように。

『彼らは僕の友達だよ…』

場にいる者の背筋が凍る。
この少年はサスターナ君じゃない―そう思える程に別人だった。

「タッ、大変申し訳ありませんでしたッ!!!」

土下座をし額を地面にぶつける。
まるで命乞いをしているように見えるが、サスターナ君は無視して私等に近づく。

『ごめんねぇ…っ。皆を危険な目に遭わせたよねぇ…。ボク…お仕置きだよね…?』

また涙が零れる。
カネコはまるでこうなることが分かっていたかのようにじっとしている。

『まぁ、サスターナ来なくても勝てたし大丈夫♪ ―お仕置き、すんのー?』

にへーと笑うカネコ。
え? サスターナ君の言うお仕置きは自分がされる、という意味じゃないの? ってことはまさか…。

『んー…斬首、かなぁ』

ヒッと小さい悲鳴が聞こえた気がした。


ザシュッ


視界が赤く染まって見えた。気が付くとそこは一面の血溜りだった。その中に二つの獣の頭が転がっていた。

一瞬、何を見たのか分からなくなった。