パキパキパキパキ
田舎の中にある、木造建ての小さな小屋。中に物は何も置いてなく、埃だけが使われていない年月を表していた。小屋の内外を媒介する重々しい鉄の扉だけとてつもない違和感だった。
その中に、女の子がいた。彼女は右の掌を鉄の扉に当て、左手で右手首を持ち、氷の能力で扉を凍らせている。
「とは言ったものの…。やっぱり鉄を砕くって相当な能力ね」
鉄の扉は厚い氷に包まれたが、一切様子を変えない。
普通に考えたら鉄を凍らせても砕くのは不可能だ。しかしここは普遍ジャペンではない、特殊ジャペンなのである。
「…この扉、そんなに分厚く見えないけどな」
最悪、木の壁を凍らせて割って脱出するか…。いや、それじゃこの小屋は崩れる。崩れた時の騒音で私を閉じ込めた犯人に見つかったら、ヤバイもんな。
とりあえず、この扉を壊すしかないな!
ビキビキと氷が扉を圧迫していく。氷が粉砕しない様子を見て、可能性を感じた。
「砕けろ!!」
ミシッという軋んだ音が耳に入った。しかしそれもつかの間、砕けてしまった―扉ではなく、氷が。
「そんな…」
砕かれた氷をつまみ上げた。かなり細かく砕かれたようだ。これが私の精一杯だってことを証明している。
はぁ、とため息を付きしゃがみ込む。すると、目の前に小さな光がふわっと過ぎたのを見た。
「あれ、これって…」
ミカが特殊ジャペンに行った時のステンドガラスの扉。ミカが国渡りをした後―光の粒子になっていった…。この扉を作ったのは、もしかして…。
「サスターナ、くん…?」
光の出所を辿ると、扉に微かながら傷が付いていた。その傷口から光が出ているようだ。
これ、いけるかもしれない…!
「氷の剣…ッ」
襲撃犯を捉えた氷の矢を応用し、氷の剣を作る。掌の上に剣の柄から次第に刃が出来上がっていく。
カキンッ! カキンッ!
「だぁーっ!」
光の漏れる傷を何度も何度も斬りつけていく。
「コレ…いけるかも」
傷口からの光の量が増えている。これは傷口が広がった事を意味している。
カキン…カキンッ!!
「!」
確かな手応えがあった。
いける。そう思った。
「だぁーーーーーーーーーー!!!!」
渾身の一撃を繰り出す。その瞬間、辺りが光で真っ白に見えた。
*****************
「な…何これ…」
ぞわぞわと全身の鳥肌が立つ。その身に強烈な吐き気が襲った。
小屋の鉄壁の扉を破り、光が消失した後に見えた世界は、まるで〝死〟の世界だった。
ここが獣族街…?
それは、〝街〟とは言い難い景色だった。畑と林が半々に広がっており、他は家がぽちぽち立っているだけだ。
そして―目の前には大量の死体。辺り一面に血の水溜まりが出来ている。おおよそ40人だろうか―
どの死体も右手首が取れていて、それは改めて死を表す。
畑にたくさん表札のようなものが立っていたが、近くで見るとそれは墓だった。
「これ全部…墓なの…」
ここが本当に獣族街だとしたら、この墓は異民族の墓? いや、嫌っているのなら墓なんて建てないな…。
すると、林の方からガサガサと歩く音が聞こえた。一人だろうか、独り言をブツブツ言っている。
「ン? なんか異民族の臭いするなァ 」
どこかで聞いた話し方が、はっきり聞こえた。
田舎の中にある、木造建ての小さな小屋。中に物は何も置いてなく、埃だけが使われていない年月を表していた。小屋の内外を媒介する重々しい鉄の扉だけとてつもない違和感だった。
その中に、女の子がいた。彼女は右の掌を鉄の扉に当て、左手で右手首を持ち、氷の能力で扉を凍らせている。
「とは言ったものの…。やっぱり鉄を砕くって相当な能力ね」
鉄の扉は厚い氷に包まれたが、一切様子を変えない。
普通に考えたら鉄を凍らせても砕くのは不可能だ。しかしここは普遍ジャペンではない、特殊ジャペンなのである。
「…この扉、そんなに分厚く見えないけどな」
最悪、木の壁を凍らせて割って脱出するか…。いや、それじゃこの小屋は崩れる。崩れた時の騒音で私を閉じ込めた犯人に見つかったら、ヤバイもんな。
とりあえず、この扉を壊すしかないな!
ビキビキと氷が扉を圧迫していく。氷が粉砕しない様子を見て、可能性を感じた。
「砕けろ!!」
ミシッという軋んだ音が耳に入った。しかしそれもつかの間、砕けてしまった―扉ではなく、氷が。
「そんな…」
砕かれた氷をつまみ上げた。かなり細かく砕かれたようだ。これが私の精一杯だってことを証明している。
はぁ、とため息を付きしゃがみ込む。すると、目の前に小さな光がふわっと過ぎたのを見た。
「あれ、これって…」
ミカが特殊ジャペンに行った時のステンドガラスの扉。ミカが国渡りをした後―光の粒子になっていった…。この扉を作ったのは、もしかして…。
「サスターナ、くん…?」
光の出所を辿ると、扉に微かながら傷が付いていた。その傷口から光が出ているようだ。
これ、いけるかもしれない…!
「氷の剣…ッ」
襲撃犯を捉えた氷の矢を応用し、氷の剣を作る。掌の上に剣の柄から次第に刃が出来上がっていく。
カキンッ! カキンッ!
「だぁーっ!」
光の漏れる傷を何度も何度も斬りつけていく。
「コレ…いけるかも」
傷口からの光の量が増えている。これは傷口が広がった事を意味している。
カキン…カキンッ!!
「!」
確かな手応えがあった。
いける。そう思った。
「だぁーーーーーーーーーー!!!!」
渾身の一撃を繰り出す。その瞬間、辺りが光で真っ白に見えた。
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「な…何これ…」
ぞわぞわと全身の鳥肌が立つ。その身に強烈な吐き気が襲った。
小屋の鉄壁の扉を破り、光が消失した後に見えた世界は、まるで〝死〟の世界だった。
ここが獣族街…?
それは、〝街〟とは言い難い景色だった。畑と林が半々に広がっており、他は家がぽちぽち立っているだけだ。
そして―目の前には大量の死体。辺り一面に血の水溜まりが出来ている。おおよそ40人だろうか―
どの死体も右手首が取れていて、それは改めて死を表す。
畑にたくさん表札のようなものが立っていたが、近くで見るとそれは墓だった。
「これ全部…墓なの…」
ここが本当に獣族街だとしたら、この墓は異民族の墓? いや、嫌っているのなら墓なんて建てないな…。
すると、林の方からガサガサと歩く音が聞こえた。一人だろうか、独り言をブツブツ言っている。
「ン? なんか異民族の臭いするなァ 」
どこかで聞いた話し方が、はっきり聞こえた。
