目線をあげ、リョウ君がまっすぐに私を見る。

ーーーダンッ
と、私の顔の横に、両腕をつく。

その音が、ガード下のトンネル内に響いて
ビクンッと、肩が震えて
持っていた傘が 落ちた。


「・・・・つく」
リョウ君の、小さいけれど怒りに満ちたような
声の語尾だけがとどく。


「き・・聞こえな・・」
「むかつく!」

「な・・にが?」
「あいつが『セイラ』って、
呼び捨てにすること。
あいつに『セイラ』って、
呼び捨てを許してること。」