宮坂先生だったら、こういう時、どう尋ねるだろう、
そう頭の中で、そう思った瞬間、
緊張と興奮で混乱していたけど、
少しだけ冷静になれた。

だから、ゆっくりと隼大の顔をもう一度見て、
それから尋ねてみる。

「その子はそう言っているけど、
本当にそうなの? 
お姉ちゃんは、隼大が
そんなことするとは思えないけど、
するなら、それなりの理由があったと思うし、
本当に怪我をさせたなら、
お姉ちゃんもその子に、
ちゃんと謝らないといけないし。
だから、最初からちゃんと説明してくれる?」

そう告げる私の声は、思ったより柔らかくて、
怒られると身構えていた隼大は、
一瞬こちらを見て唇を震わせて、一瞬瞳が潤んだ。

「アイツが、『早死にする奴は、
普段の行いが悪いから早く死ぬんだ』
ってそう言ったんだ」

一気に言って、
ぽろりと、涙を零した。

きっと、隼大はその話を、
母の話としてとらえたんだと瞬時に理解した。
ぎゅっと思わず弟を抱きしめて、
頭をとんとんと軽く叩くように撫ぜる。

「……そうなんだ」
そう私が言うと、一瞬恥ずかしいのか、
私の腕の中から、逃げ出そうとするけど、
次の瞬間力を抜いて、
涙声のまま、
「だから、『そんなことはない』って言い返したら、
言い争いになって……」

小さい子供とはもう違うから、
その声は涙声で震えながらも、
しゃくりあげたりして、話せなくなることもないけれど。