【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫

スーパーの袋をそっと置いて、彼の寝ている部屋を覗き込むと、
部屋の奥のベッドでこちらを見つめる視線と目が合う。
一瞬頭を持ち上げて、

「……佳代だけか?」
びっくりした声でそう尋ねてくるから、

「隼大、今日出かけてて……」
思わずそう答える声は、ながら不安げで、
言い訳じみて聞こえる。

「私しかいなかったんだけど……
この暑さの中で、発熱してて、飲み物も取らなかったら
それこそ、本当に熱中症になっちゃうって思って……」
そう言って、一つ深呼吸をすると、
どんどんと部屋の中に入っていく。

きちんと片づけられた先生の部屋を
ちょっと意外に思いながら、

「まずはちゃんと水分、取ってください」
そう言うと私は、台所からコップを持ってきて、
ミネラルウォーターと、イオン飲料を割って、
ベッドに横たわる彼の背中に手をまわして、
彼を座らせて、その手にコップを持たせる。

背中にあてた手が、彼の熱を感じる。
すこしだけ汗をかいているから、
水分をしっかり取れば、汗をかいて、熱が下がるかも、
そんな風に思いながら、
喉が渇いていたのだろう、
勢いよく水分を取る彼の横顔を見つめる。

「……はぁ、助かった……」
やはりしんどいのだろう、
パタンと頭を落として、先生はまた横になる。