帰ってきた隼大は、
ちょっとだけ不安そうな顔をしていたけど、

「ねえちゃんが悪かった。
隼大のこと、もっと信用する」

私がそう謝ると、

「ん。俺も飛び出してゴメン」
下を向いたまま、隼大も謝って、
そのまま、部屋に入ってしまうから、
私は照れくさいんだろうなと思って、小さく笑う。

「ちょっといいか?」
先生が私を外に呼び出すから、私が外に出ると、

「ほら、これ持っておけ」
そう言って渡されたのは、名刺だった。

「?」
その名刺の裏を返して、彼が言う。

「家の番号は知ってたけど、
俺の携帯番号は知らなかっただろ?」

「何かあったら、呼べよ」
そう言って、彼はそのまま踵を返す。

「あの、先生ありがとう」
その背中に私が声を掛けると、
そのまま、後ろ手に手を振る。

そのなんだか頼りがいのある背中を見送ってから、
私はゆっくりと振り返って、隼大の待つ家に戻っていった。


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