今まで一緒に勉強していた友達たちも、
各々の就職先に散らばっていくし、
多くの子は、そのまま東京の病院に勤めてしまうから、
なかなかこれから先は会うのが厳しくなる。

そんなこんなで、仲の良い子たちと、
お別れ会を兼ねて、飲み会に出かける。

「佳代、やっぱり島にもどるん?」
そう尋ねてくる友人の愛梨に、
私は、生ビールを飲みながら、
「うん、弟もいるしね~」
と答えると、
「うーん、まあ、仕方ないかあ……」
そうため息をつく。
「なんだかんだ言っても、佳代は真面目だしね」
弟がいたらそうせざるを得ないのか……
そう言いながら彼女のビールを飲む。

「でもさ、島じゃ、若い男っていないんじゃない?」
そう言って、にやりと笑う。
「…………いなくもないけど、世界が狭いからね、
昔っからの知り合いか、さもなければ、観光客ばっかりだなあ」

「なんか、いい男とか、いないの?」
そう言われて、一瞬宮坂先生の顔が浮かんで、
私はあわてて頭の中で、
まあ、若くて、昔馴染みでもなくて、観光客でもないからな、
と慌てて言い訳をする。

「ん? なんか顔が赤いけど?」
くすりと愛梨がそう言って笑う。

「ちょっと酔っているだけだよ」
私はあわてて、そう言って否定して、
目の前のビールを飲み干した。