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まず一回目としては、思いがけずよかったんじゃないかな。

私は自分の計画した合コンの結果にひとまず満足する。
意外にも、佳代ちゃんと、岩崎くん盛り上がっていたし。
……なんだったら、なんだかややこしそうな宮坂先生じゃなくても、
彼でもいいんじゃない?って一瞬思ったくらいだけど……。

爪のマニキュアを直しながら、
私は思い出し笑いをする。


宮坂先生、面白かったなあ。

……店内に入った時、
最初一瞬あっけにとられていた顔をしていた、
それで途中からひどく不機嫌な顔をしていた。
私がちょっとしたお願いをしたら、
二人の微妙な関係に気づいていた南君は、
面白そうに笑って、
「了解しました」って言ってくれて。

さっそく、彼にちょっかいかけたから余計だろうな。
思い出して、思わず笑みが浮かんだ。

『合コンらしいですよ?』
『佳代ちゃんに彼氏作ってやるって、
なんか、麻生先生燃えているんですよ…』
『佳代ちゃんもそろそろ結婚しても
おかしくない年齢ですしねえ……』
そんな感じのことを言ってくれたらしい。

途中で南君たちと、カウンターで話をしながら、
ちらり、ちらりとこちらに視線を投げかけていた。
こっちの予定通り、佳代ちゃんは
宮坂先生を背にする席に設定したから、
佳代ちゃんにちょっかいかける男性陣の様子は見えるけど、
本人の表情は先生から見えないし、
佳代ちゃんも振り向いてまでは、彼のことを見ることができない。

だから、佳代ちゃんに食いつく男子の様子だけ、
たっぷり見せつけられた状態ってことで……。

周りに知り合いも多いし、
あからさまに表情を変えたりすることはなかったけど、
いつもよりずっと、たばこの本数が増えてた。

そりゃ、気になるよね。
だって、自分から好きとは言えないけど、
彼は彼女が欲しいに違いないんだから……。
目の前で浚われそうな状況は……
あの性格だから、きっとすごいストレスがかかるはず。

思わずその様を想像してくすくす笑いが止まらない。