【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫

「好きでいるのは自由だからな、
好きでいたいなら好きでいたらいい。
傍に居たいなら、好きなだけ傍に居たらいい……」

拓海にそう言われてから、
私はどこか気持ちの中で開き直ったような気がする。
例えば例の彼女が、彼を追ってやってきたら、
その時にそれは考えたらいい。

まだ、来てもいない人が来るのを心配しても仕方ないし、
それよりは、今、彼と一緒に居られることの方が、
ずっと私にとっては大事なことだから。

あれから、貴志がデートに私を誘うことはなくなって、
その代り、私は『穂のか』で、拓海と一緒に飲むことが増えた。


そんなある日。

病院で、勤務をしていると、
整形外科から出てくる拓海と出くわす。
一緒にいるのは養護の先生で、

「どうしたんですか?」
思わずそう尋ねた瞬間、
彼が右手を三角巾でつっているのに気づく。

「……天罰が当たった」
そう一言言って、彼が苦笑する。
「え?」
思わず私が聞き返すと、

「何言っているの? 
生徒の代わりに、宮坂先生が怪我したようなものなのに……」
そう言って、養護教諭の先生が、
小さくため息をつく。

「あのですね、児童が、掃除の時間に、
窓に足をかけてふざけていて、
そのまま足を踏み外して落ちたんですけど、
ちょうど、宮坂先生が下を通りかかって、
その子を抱き留めようとしたら、
止めようとした子まで落ちてきて……」

「一人なら何とかなったんだが、
もう一人落ちてくるとはさすがに思ってなくてな……」
そう言って彼は苦笑する。

「おかげで、二人とも無事だった代わりに、
宮坂先生が骨折することになって……」
まったくもう、子供たちも元気すぎるのにも困るわ。
そんな風に養護の先生が言うと、

「まあ、子供に怪我なくてよかった……」
俺は頑丈だから、すぐ治りますよ、
と、かえって養護の先生をなだめるように言う。